夏へのトンネル、さよならの出口。
遅くなりましたが、Huluでアニメ映画版が配信されていたので視聴させていただきました。
今回はそのレビューを書いていきます。
ネタバレありの内容となります。
視聴しての余韻
まず見終わって最初にしたのは
この作品ともっと早く出会うべきだったという「後悔」です。
そして、映画自体の評価は⭐︎5。
どれを取ってもほんとに素晴らしい作品だと感じました。
余韻に浸りまくってもっとこの作品について知りたいという思いが強すぎて、
「原作」と「Blu-ray豪華版」を購入してしまいました。
別記事にて、原作とBlu-ray豪華版の内容について触れていきますのでこれから購入を考えている方は参考にしてみてください。
「夏トン」映画レビュー
先にお伝えすると、配信サイトで7日間で計5回は見ました。
そうです。ほぼ毎日見てしまいました。
ネタバレありということでこれを読んでいる方はすでに映画を見ていると思います。
まずは、映像美。
背景
香崎駅のデザインから何から美しすぎました。
モデルとなった下灘駅がより美しく描かれていて、配信サイトならではの一時停止して見るレベル。
主人公である塔野カオル君の家付近の海や雰囲気が綺麗すぎて「行ってみたい」「住んでみたい」と思った方も少なくないでしょう。
人物について
映画では限られた時間ということもあり、主人公である「塔野カオル」とヒロインである「花城あんず」に視点を向け、2人に感情移入しやすい構造となっていました。
原作では、友人2人についても詳しく描いており、映画をみた後で原作を読むと足りない部分が補完されたような感覚となり、より作品に入り込むことができます。
塔野カオル
今作の主人公。
キャラデザが実際にいそうなリアルな部分が組み込まれており、少しダウナーでありつつ恋心とかは少し鈍感。しっかり高校2年生だなって思わせる工夫がされている。
全てを捨てる覚悟があるという部分が彼を動かしていると思わせてくれた。
花城あんず
このキャラデザと性格を考えた人、間違いなく天才です。
一直線。折れない芯がありつつ、それでもまだ大人になりきれていない部分があるがそれが高校生らしいと思った。
原作ではよりしっかりと弱い部分を塔野カオルに打ち明けるシーンがあり、より感情移入できます。
2人の出会いからラストまで
最初のオープニングで「片っぽ」と共に塔野カオルの下校シーン。これについては初見ならまぁ普通。
という感想で良いと思います。
ですが、展開を知っている上で2回目見るとめっちゃ心にきます。
なぜこの曲を聞き流しで聴いてしまったのか後悔するほど。
最初の傘のシーン
映画オリジナル。
めちゃくちゃ良いシーン。
Blu-ray豪華版を買ってコンテ集を読んだ私がいいます。「ドチャクソ美人でしたよ」。
会話からの流れで「それは、いいね」と塔野カオルが口走るシーンから、驚いた顔をした花城あんず。
ここから少し会話が緩んでいったような感じがします。
この時点で信用していないけど、理解したいという感情がお互いに少しずつ芽生えたようなそんな表情と声でしたね。
教室での再会
転校生として花城あんずが紹介されるシーン。
ここで花城あんずは塔野カオルに傘の件で話しかけています。
この時点でわかるのは「このクラスで彼だけマシ」というような感じ。「彼ぐらいまともなら話すよ」という風にあえて周りに聞かせているようにも思えました。
そして、花城のグーパン。
原作を読んで知ったのは、花城はある程度自分の中で「限度」を持っている。それが溢れた瞬間がグーパンチ。
おじいちゃんの漫画を床に落とされたのは1発で限度を超えたのでしょう。それだけ大事な漫画。原作は少し違い、映画オリジナルのシーンですが、花城の中身をわかっているからこそできた演出だと感じます。
ウラシマトンネルを見つける
場面は変わって塔野自宅。
塔野の父親がやばい奴という認識をしたあとで、導かれるようにウラシマトンネルを見つけます。
ここで重要な補完しますが、「ウラシマトンネル」という都市伝説や噂。実は劇中でも存在しないんです。
周囲から聞こえてきて、塔野がウラシマトンネルを認識するわけですが、あれは実際には自分の頭の中で勝手に都合よく解釈しているだけなんです。(詳しくはBlu-ray豪華版にて)
実際解説があったわけでもなく、なんとなく見ている側も都市伝説として認識してしまいましたが、実際は劇中の都市伝説でも存在しません。
花城が「ウラシマトンネルが塔野君を見つけた」という言葉や図書館で調べたときに何の情報も出てこなかったことも伏線やヒントだったのでしょう。
そしてCGで描かれる、美しく、少し不気味なトンネル。
トンネル内が「別世界」となると、SF感が強くなってしまうので現実としっかり繋がっている曖昧な境界が見る人を引き込んでいますね。
1週間が過ぎる
トンネルから出たら1週間が経過していた。
加賀と花城からメール。
加賀のメールは何となく察していましたが、花城のメールについては少し考えさせられる展開。
傘を理由にメールをし、気遣っているような雰囲気が見て取れました。(この時点で「それは、いいね」の言葉が引っかかり、内情は知らないけど心配でメールしていたのかな?と思わせる短い文章)
キツい性格かなと思っていた花城の少し優しい部分がこのメールには現れています。
次の日の学校で声をかけている部分、こちらも傘を理由にしていますが、しっかり心配している様子が伺えますね。まぁ鈍感の塔野君は気づいていませんが。(加賀が言葉に出して補完してくれているの見る側としてちょっとありがたい)
実は「Blu-ray豪華版」のコンテ集の中に、映画では公開されていない非公開のシーンがここにあります。
短いシーンですが、より花城が好きになれる細かい演出。(著作権の関係で画像は出せません、ぜひ自分の目で確認してね)
(2)へ続く