広告 夏へのトンネル 小説

【ネタバレあり】「夏へのトンネル、さよならの出口」映画版を考察・解説レビュー(2)。【夏トン】

トンネル内で出会う

久しぶりの登校となったその日、

再び塔野はウラシマトンネルへ向かうのですが、

ウラシマトンネルで花城と出会います。

ここについては、詳しく描かれておらず急に花城がウラシマトンネルに現れたと思った方もいると思います。

実際は、「それは、いいね」と言い放った理由を聞くために、塔野を尾行していたのでした。

原作では尾行していたら楽しくなってきた&キョロキョロして線路を歩いて行ったのであえて話かけずにあとをつけた様子。この様子からわかる通り、花城は「普通ではない」ものに興味を持つ傾向にあり、その好奇心からもまだ大人ではない高校生が持つ思考そのものだと思っています。

さらに言えば、「何かに巻き込まれている」という感覚を本人が楽しんでいます。

手を引かれてトンネルを出た時も、実は常に楽しんでいる花城。本来なら不安な状況かもしれないのにそれすら楽しめているのも彼女の魅力なのかもしれません。

 

ここで共同戦線

お互い欲しいものを手に入れる為に共同戦線を結ぶ二人。

ここで一つの疑問。

映画版でこのトンネルのシーンはおそらく花城がトンネルに居なければそのまま突き進むつもりだったのでは?

・・おそらく進んでいたでしょう。

(原作では、1人で調べている最中に花城に見つかり、2人のほうが効率が良いという理由もあり共同戦線を結んでいます)

 

ここの考察は以下の通り。

映画版

お互いが欲しいものを手に入れる為共同戦線

(後から調べてから行くべきだという認識に変わった)

 

原作

2人の方が調べるのに効率が良く、お互いが欲しいものを手に入れる為共同戦線

 

映画版では調べる前に共同戦線を結んでいるのであとから2人で調べる重要さを理解している。

原作ではすでに1人でウラシマトンネルを調べ始めていたので、この認識。

 

2人で調べ始める

ここから2人の距離が急速に縮まっていきます。

ここまでだと妹を取り戻したいダウナー男子だったのですが、花城と会話し、トンネルを調べ、少しラッキーな部分を取り入れることであくまでも彼は「高校2年生」の男子という認識を再確認させてくれます。

この辺りからわかる通り、最初から興味なさそうな雰囲気を出しつつも駅で傘を渡した時点から花城の事を気にかけていた事が見て取れます。

ちなみに花城については、家に行く辺りから予想すると塔野の事を完全に信用している(この時点でまだ好きではない?)と思っています。

挿入歌のプレロマンスがよりこの2人を引き立てていますね。

 

最後の調査

メールが送れるのか最終調査。

この場面が前半部分の重要となるポイント。

トンネル内と現実世界の断絶。

この世界の断絶を経験したことで、お互いが遠い存在になるのでは?と認識したことがわかります。

ここで花城がしゃがんで待っていたのは、単純に7時間待って疲れていたのもあると思いますが、

「彼がこのまま戻って来ないのではないか?」

という不安もかかえ、しゃがんで待っていたのではないでしょうか。(水族館のシーンが答え合わせの時間)

本気で心配して駆け寄る塔野が思わず呼び捨てしてしまいますが、

ここが重要なポイント。

花城本人は「別に気にしてないけど」と言うのですが、このフラグに塔野は気付きません。

この鈍感さが高校生さがあっていいのですが、「怒ってないならそれでいいか」くらいの感じでトンネルを出ようとします。

トンネルを出ようとする塔野を花城は目で追っていますが、この時の心情は「コンテ集」に描かれています。詳しく知りたい方は豪華版のコンテ集をぜひ読んでほしいのですが、簡単に言えば「引き留めておかなければどこかに行ってしまいそう」ということです。

引き留めなければという心情と塔野の事をもっと知っておかなければということもあり、

この後水族館に誘ったのでしょう。

何故水族館に誘われたのか知るよしもない鈍感男っぷりがまた良く描かれています。

 

水族館デート

共同戦線の相手として相手の事をよく知るためのデート。

塔野サイド:お互いを知るためのデート

花城サイド:相手への気持ちを確かめるためのデート

私自身は何となくこの認識で合ってると思っています・・。

花城の「好きとかそうゆうのではない」という言葉からこのデート中にはまだ「好き」という気持ちがハッキリしていないのかな?

決定打となったのは、塔野が妹を取り戻す決意を言葉にした後だと思います。

ここで花城はおそらく好きという気持ちに気づいたのではないかと予想。(2頭のサメが近づく演出が心情を表している??)

 

(3)へ続く。

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