広告 夏へのトンネル 小説

【ネタバレあり】「夏へのトンネル、さよならの出口」映画版を考察・解説レビュー(3)。【夏トン】

3連休でウラシマトンネルへ

欲しいものを手にいれる為についにウラシマトンネルへ。

108秒で3連休使い切り。

2人同時にウラシマトンネルに入るのは最初以来ではないでしょうか。

原稿用紙を2人で拾い上げ、出口へ走るシーン。

咄嗟の判断でもありますが、2人でトンネルへ入った際は必ず塔野が花城の腕を掴んで出口に向かっているんですよね。

これは塔野の無意識の優しさでもあるんですよね。女の子1人を置いていかない優しさ。

そしてトンネルを出たらすぐに取り上げられる原稿用紙。

塔野は恋愛に関しては鈍感ですが、そのほかに関しては無駄に察しが良いので見られる前に早く取り上げられている・・。

 

花城の部屋へ

父親に何言われるかわからないという塔野を庇うように自分のアパートに案内する花城。

この時点でもう塔野を気に入っているとかではなく「好き」なんですよね・・。

花城の部屋で漫画や画材の様子から全てを理解した塔野。なぜそれは気付くのに花城のフラグに気付かないのか。

(原作だと部屋のシーンで花城が塔野に対して「好き」と言いかけますが、塔野がそれを遮るように会話するシーンがあります。このやりとりは原作でしか味わえない部分でもあるのでぜひ原作を読んで欲しい・・・。)

花城の手元にある原稿用紙に対して「もし違うなら君の書いた漫画・・とか」

と言った後の花城の動揺した様子は作中では一番。

漫画を読まれる事を拒否した花城が、読まれた後の嬉しそうな足踏み・・。

映画版だと、分かりやすく喜ぶシーンが少ないのでこれは貴重な1枚です。

それでいて花城が塔野を押し倒すシーン。

このシーンはドキッとするようなシーンでもあり、作画に目を奪われるシーンでもあります。このシーンに下心は一切なく、純粋な決意の目になっている塔野と花城が絵になる。

髪と瞳。この2つだけで見惚れてしまった方も多いでしょう。

 

花火大会

ここでハッキリと言われているわけではないのですが、

これはこの時代最後の「思い出作りに」という考えで花城を誘っていたのは見て取れると思います。

屋台でのシーンに会話はほとんどないのですが、それがこの2人の関係を引き立てていましたね。

この時点で塔野は「ウラシマトンネルが欲しいものを手に入れることができるわけではない」という答えに辿り着いているのですが、それを花城に話すべきかどうか悩んでいそう・・・。

そして花火の最中に手を繋いだシーンで「もし話してもどんな理由があれ花城は8月2日に一緒にウラシマトンネルに入る」という確信に近いものを感じ取ってしまったので本人的にはどれが正解か揺れ動いている部分がありそうだなとも思いました。(あくまで考察です・・。)

このシーンで塔野の弱い部分を受け入れてくれている花城が素敵すぎた・・。

 

帰宅後の絶望

私が作中で正直、苦手とするシーン。

塔野に絶望を与えたシーンの一つですが、父親の気持ちもわからなくもないかな・・とも思える複雑な心情。

娘を亡くした絶望から這い上がり気持ちを切り替えて新しい人生を切り出そうとする父親と妹と取り戻そうと必死な塔野。

「進もうとしている者」と「過去を追っている者」の両者・・、どちらも決して悪くはない・・。

父親の酒癖が悪く、暴力的な部分があるせいで悪者に見えると思いますが、どちらの考えも間違いではない。

そう、ここが視聴者、観る側の心情が大きく分かれる分岐点なんです。

というのが、この作品。これまでの経験や見る人次第で心情が180度変わってくるんです。

次の回で答え合わせといきましょう。ウラシマトンネルについてどう思ったか。

 

 

(4)へ続く

 

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